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製品案内 NEW ENGIのこだわり

  • ぼくらが目指す酒は、「最良の食中酒」

「自分たちが飲みたい酒」を「農」に直接関わりながら楽しんでつくり、酒を通じて地域の魅力向上に貢献する。目指すは、「最良の食中酒」。これは、ぼくらがポリシーとして、ずっと言ってきていることです。今回の NEW ENGI も、もちろんかわりません。 蔵人たち自らが、一切の農薬をつかわず、自家製堆肥を主とした有機肥料の使用も最低限に抑えた、自然な農法でつくった米だけをつかった酒です。
在来農法に比べて、手間がかかると同時に、収穫量も大幅(たぶん半分以下)に少なくなりますが、自分たちの酒をつくる上では、最大の武器だと信じています。目指すは、完全発酵した力強さにキレイさが加わった、食事に合う酒。そのために、単に地産地消だとか、エコだとかではなく、効率が悪くとも、タンパク分が少ない、「溶けのいい(=麹による糖化の効率がいい)」米が必要なのです。

  • 玉村本店の米づくり

玉村本店では、2003年から、美山錦を自家栽培してきました。2004年にビールの醸造を開始してからは、仕込みで出る麦芽粕からつくった自家製の堆肥を酒米づくりにつかっています。2020年から、耕作面積を大幅に拡大し、「金紋錦」の栽培もはじめました。2021年からは「山恵錦」にも挑戦。耕作面積を拡大させながら、大阪の秋鹿酒造さんのご協力をいただき、2023年には「山田錦」の栽培を開始しました。

従来から、農薬、化学肥料はかなり抑えた米づくりをしてきたのですが、2021年から本格的に「ポット方式」という苗のつくり方を導入。2022年からは農薬・化学肥料を完全につかわない、自然な米づくりに全面転換しています。田んぼ毎の地力の違い、水の温度、排水状況、圃場の平さ、雑草や虫の発生、などなど、いろんな課題がみつかり、試行錯誤は続いていますが、「元気な苗」ができるようになっています。



肥料に関しては、ビールづくりででる麦芽の粕からつくった堆肥中心の有機肥料のみをつかっています。その有機肥料の使用量も、できるだけ少なくしています。こうした、無農薬・有機肥料は、「自然な酒」のためであるのはもちろんですが、それだけが目標ではありません。タンパク質などの栄養素は、実は酒の雑味のもとにもなります。そのために、酒米は、そうした成分を含む外側の部分を、時に50-60%以上も磨きます。(有機も含めて)肥料の使用量を減らすことで、収穫量は劇的に落ちますが、一方でたんぱく分の少ない米にすることが可能になります。結果として、あまり米を削らずに、米の味わいや力強さとキレイさの両立を目指せるのではと思っています。喉越しのいい田舎蕎麦的な!?

農薬をつかわず、肥料を抑えて、水の量を管理しながら米を育てているうちに、圃場に生える雑草についての知識もだいぶ蓄積してきています。今では、その雑草たちが、ぼくらにとってその最適量を教えてくれる大事な指標となってきています。 傾斜の強い中山間地での耕作は、作業効率的にはなかなか大変です。しかしながら、そこに吹く風は、いもち病やウンカの発生を抑えてくれます。ふんだんな水と、夜間の涼しい気候は、酒づくりに適したでんぷんの組成(=麹「溶けやすい米」)のために大きく貢献してくれています。酒米だけを自分たちでつくることで、それぞれの品種にとってベストなタイミングで植えて、ベストなタイミングで収穫することができます。当たり前のように聞こえるかもしれませんが、例えば契約栽培であっても、ほとんどの農家さんにとって、やはりコシヒカリなどの「飯米」が中心なわけで、なかなか簡単なことではありません。まして、こんなに低収量のものを、やってくれる農家さんを見つけるのは至難の業です。

とても非効率ではありますが、自分たちが安心できる自然な農法により、自分たちが求める米が、だいぶつくれるようになってきています。これからも、いろいろ学びながら(=つまり、失敗も経験しながら)、より「いい酒米」を目指して、試行錯誤をしていきたいと思っています。

  • ラベルについて



ラベルのデザインはタナカノリユキさん。「縁喜」を、まったくあたらしい「ニューエンギ」として解釈してもらって生まれました。水引きは、「縁」を表す、「魔除け」や「人と人を結ぶ」和のモチーフ。よくみると、55%の精米歩合の方は五角形、65%の方は六角形になっています。五角形は万物を形成する5つの要素(火・水・木・金・土)を頂点に持つ完全体とされ、「万能」や「成功」を意味する図形として、縁起がいいとのこと。また、6角形は日本では「亀甲文様」という図形として知られる六角形。「亀は万年」ともいわれるように、長寿の象徴だったり、小判に似ているので金運がいいとか、そのバランスから「安定と調和」を意味するとも。とにかく、新しい縁喜を象徴するモチーフなわけです。

そして、その下にあけられた21の穴。これは、横一列に数えても、7が3つ。9個のブロック毎でみても7が3つ。そう、縁喜の「喜」を「」と書くことから、7が三つということ。水引の真ん中の穴には、「縁喜」の前身「星の井」の、井戸に映る月のイメージも。

いままでの縁喜とはガラッと違うデザインだけど、やっぱりしっかり和な印象。こうしてみると、ワインでも、焼酎でも、もちろんビールでもなく、やっぱり日本酒ならではのデザインだと思うのですが、いままでの日本酒とは全く違う印象。たぶん、これから長い時間を経ても色褪せることないデザインだと思っています。ぼくらのNEW ENGIが、ラベル負けしない酒でいつづけられるよう、進化していかないと。


  • 新たな挑戦



NEW ENGIは、金紋錦と山恵錦をそれぞれ55%と65%に精米した4種類からスタートしました。もちろん、全てが純米酒。生酒以外は、いずれもしぼってすぐに瓶詰めをして瓶燗火入れをして、低温貯蔵をした商品です。しぼった酒を、冷たいまま瓶詰め、熱処理をして急冷する「瓶燗火入れ」をすることにより、酒が外気に触れないことから香りが飛ばないとともに、品質の変化を最小限におさえたお酒が出来上がりました。

香りや甘みよりも、「食中酒」として、米の力強さを感じるものを目指しています。低タンパクの影響もあってか、味わいはクリーンでキレイな仕上がり。「香り」は最優先ではないと書きましたが、特徴的なニュアンスも。もしかしたら栽培方法由来の香りである可能性もあり、その辺りは今後の研究課題です。これからやりたいことだらけですし、まだまだ進化が必要だと思っています。そんな新しい縁喜の挑戦、おつきあいいただければうれしいです。


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